悪質な取立てに対してはどう対応する?

取立てを規制する法律はどうなっている

昔は、サラ金などの貸金業者の苛酷な取立てが、多くの悲劇を生みました。さすがに現在では、そのような話はあまり聞かなくなりましたが、それでも、中にはまだ厳しい取立てをしている業者もあるようです。

借金の取立てについては、現在は、金融業名‘全体を統・的に規制する法律はなく、業種によって異なった法律が規制しています。たとえば、サラ金などの消費者金融については、貸金業法(貸金業の規制等に関する法律)が、クレジットについては割賦販売法が、それぞれその業務内容を規制しています。さらに、財務省や経済産業省の通達や行政指導などによる規制もあります。

その他、お金の貸し借りについては、利息制限法や、出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)などが重要な法律です。

業者のペースにはまらないように心をしっかりと

借金をしているという負い目のある債務者としては、矢のような催促や威圧的な態度に押されて、ついつい業者に言われるままに支払いそしてしまう場合もあります。とくに、まじめな債務者ほど、業者の取立てには悩まされるものです。

しかし、そうした業者のペースにはまってしまうと、事態はますます悪化することになります。支払う必要のない法外な金利や、新たな借金まで背負いこんで、借金地獄に陥ってしまうことも多いものです。果ては、家族や友人まで巻き込んで、悲惨な事態になりかねません。

そこで、業者への対応の仕方や業者に対する規制の実態を、キチンと知っておく必要があります。

貸金業者の違法行為は見逃さない

取立てに対しては、業者のペースにはまってしまう前に、各種の法令で禁止されている貸金業者の行為を、けっして見逃さずに、毅然とした態度で対応することが必要です。

業者の違反行為に対しては、警察に相談したり、監督行政庁(財務省財務局、都道府県貸企業指導係)に苦情の申立てをしましょう。警察や監督行政庁も、悪質な取立てに対しては、以前よりも対応を強化しています。違反行為があったら臆せず、警察や最寄の監督行政庁に申立てをしましょう。

貸金業者の禁止されている行為はどんなことか

貸金業法は、禁止されるべき取立行為の具体的態様について明確に規定しています。どのような行為が禁止されているのかを見ていきましょう。

暴力的な態度や、大声をあげること乱暴な言葉を使うこと

貸金業法では、取立てに当たっては人を威迫したり、債務者の私生活または業務の平穏を害するような言動をとることが禁止されています。貸金業者が暴力的な態度をとったり、大声をあげたり、乱暴な言葉使いをすることは、貸金業法に違反します。

取立時間の規制

正当な理由もなく、午後9時から午前8時までの間に、債務者を訪問したり、電話連絡やファックスを送ったりすることは禁止されています。違反には刑罰があります。

勤務先など居宅以外の場所での取立て規制

正当な理由がないのに債務者の勤務先その他の居宅以外の場所に電話をかけたり、電報やファックスを送ったりすること、または訪問することは禁止されています。

借入れの事実などを第三者に明らかにすることの禁止

はり紙や立看板などにより、債務者の借金その他私生活についての事実を第三者に明らかにすることは禁止されています。

新たな借入れによる返済の要求

他の貸金業者から借入れして返済することや、クレジット・カードなどを使用して返済するように要求する行為は禁止されています。

また、クレジット・カードを担保にとって金銭を貸付ける行為は、割賦販売法で禁止されていて、違反には罰則があります。

こうした行為を受けたときには、監督行政庁に行政処分や苦情の申立てを行うとともに、警察か検察庁へ行って刑事告訴を求めます。もちろん、とり上げられたクレジット・カードは取り戻しましょう。

支払義務のない者に対する取立てなど

保証人や連帯保証人になっていない限り、配偶者や親・子、兄弟などの家族がした借金でも、これらの人たちには支払義務はまったくありません。貸金業者が、支払業務のない親族などに対して支払の請求することは、禁止されています。

債務者がこうした行為を受けた場合には、これらの人たちに対する取立てや協力要請を直ちにやめるように、内容証明郵便で驚告しておきましょう。それでもやめない場合には、監督行政庁に行政処分や苦情の中立を行うとともに、警察か検察庁へ行って貸金業法違反として刑事告訴することもできます。

弁護士や司法書士に債務の処理を依頼した後の取立て規制

債務者が借金の処理を弁護士や司法書士に依頼した場合、または借金の処理のために裁判所で民事手続きをとった場合には、弁護士や裁判所などから債権者にその旨が通知されます。その通知がなされたにもかかわらず、債権者が債務者に電話をかけたり、電報やファックスを送信したりすること、または債務社宅を訪問して取立てを行うことは禁止されています。

改正で貸金業者がしてはならない行為が追加された

貸金業規制法の改正によって、貸金業者の禁止される行為が増えました。これらの行為は以前より問題となっていたものをベースとしています。ただし、適用されるのは施行から1年半以内となっています。

具体的には以下のものがあります。

  • a 夜間だけでなく、日中も債務者への悪質な取立てを貸金業者が行うことは禁止
  • b 連帯保証人には催告・検索の抗弁権がないことを貸金業者が説明をする義務。
  • c 債務者が自殺することによって支払われる生命保険金で貸金業者に弁済することの禁止
  • d 公正証書作成のためのに貸金業者が債務者から委任状を取得することの禁止
  • e 利息制限法を超える契約について公正証書作成の嘱託をすることの禁止

bの催告の抗弁権とは、貸金業者が保証人に請求をしてきた場合にまず債務者に請求することを求める権利のことです。検索の抗弁権とは、貸金業者が保証人に請求をしてきた場合、まず債務者の財産について執行するように請求することを求める権利をいいます。

この他、超高金利の貸付や無登録営業のヤミ金業者に対する罰則が、今までの5年以下の懲役または1000万円以下の罰金から10年以下の懲役または3000万円以下の罰金に引き上げられました。この規定はすでに施行されています。

貸金業者がしてはならないおもな行為(貸金業規制法21条1項)

  • 暴力的な態度をとること
  • 大声をあげたり、乱暴な言葉を使ったりすること
  • 正当な理由なく、不適当な時間帯に、債務者宅に電話で連絡したりファックスを送達し、または訪問すること
  • 貼り紙、落書き、その他いかなる手段であるかを問わす、借主の借入れに関する事実その他プライバシーに関する事項等をあからさまにすること
  • 正当な理由がないのに勤務先を訪問したり、電話連絡や電報、ファックスを送信したりすること
  • 借金の処理に関する権限を弁護士に委任した旨の通知、または調停その他裁判手続をとったことの通知を受けた後に、正当な理由なく支払請求をすること
  •  法律上支払義務のない者に対し、支払請求をしたり、必要以上に取立てへの協力を要求すること
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