借金を全額稼いで返すことができれば何も言うことはありません。しかし、なかなかそうもいかないから、悩んでいるわけです。
とかくマジメな人ほど借金返済のために借金を重ね、多重債務に陥る傾向があります。
たしかに「稼いで返す」ということは、心がけとしてはたいへん立派なことですが、生き方としては少々不器用ともいえるでしょう。不器用な生き方のために、家庭や仕事、健康などを犠牲にしたり、親しい人に迷惑をかけたりしていてはいけません。
借り換えは一歩間違えれば、取り返しのつかないほど借金が膨れ上がるきっかけになってしまいます。多くの人がこれで失敗しているのです。多重債務者は、多かれ少なかれ、借金を返すために借金をする、ということをやっているものです。よそから借りて、それをまるごと返済に充てても、その貸金業者からはまた、け曽枠しました」とか、「利息を下げます」などという執拗な勧誘を受けます。よほど意志の強い人でなければ、またすぐに借金が増えてしまいます。
実際にはほとんどありえないでしょうが、もしも運良くどこかの銀行が、低金利でお金を貸してくれたとしても、それをそのまま高利の返済にはあてないようにしてください。
利息制限法所定の制限で計算し直して、なるべく借金を圧縮する事を考えてから返済し、残りは生活を立て直すために大切に使いましょう。一度完済した高利の借金は、カードがあるならハサミを入れて返却して解約するとか、徹底して借金の誘惑を断ち切ることが必要です。
債務者の中には抱えた借金や厳しい取立てからの精神的な苦痛から逃れたいために、それまでの生活を捨てて逃亡したり、自殺を図ったりする人がいます。借金は犯罪ではありませんから、命を捧げて処理すべきことではありません。そんなことをしたら債務者を取り巻く家族の生活にも不安を与えます。債権者は、逃げれば逃げるほど執拗に追いかけてくるものです。
天涯孤独の身の上だというのであれば、自分一人行方をくらませはそれですむと思うかもしれません。しかし、妻子や親・兄弟がいれば、必ずそれらの人たちに迷惑がかかります。たとえ、家族や親戚か保証人になっていなかったとしても、サラ金業者としてはとれるところから取ってやろうと、必ずやってくるものです。
それに最近では、業者の目をかいくぐって逃げ回ることはなかなか容易ではありません。業者の方の調査網も発達してきて、ありとあらゆるツテを使って、逃げ出した人を捜し出してきます。つかまってしまえば、事態はさらに厄介なことになるのがオチです。たとえ夜逃げをしても追いかけてくる。夜逃げをしても、住民票を動かせば、債権者に居場所がわかってしまいますから、それもできません。賃金業者は、常々住民基本台帳を
念入りにチェックしていますから、行方をくらましてから数年たったので、もういいだろうと思って住民票を移すと、とたんに返済の請求がくるなどということもあるのです。そうなると、うかつに住民票を動かすことはできないということになります。
住民登録できないとなると、不便なことがいろいろでてきます。まず、住まい探しはたいへんですし、仕事を探そうにも、住所不定では、だいした仕事は見つかりません。もちろん、健康保険もありませんから、うっかり病気やケガもできません。
仮に、夜逃げ先で結婚したいと思っても、まずその前に離婚はできませんし、たとえ独身者であっても、婚姻届が出せません。もちろん、子どもがいれば、その子どもたちにもたいへんな迷惑がかかります。子どもの学校については、仮入学が認められますが、いずれ正式な住民票が必要になってきます。その他、国民年金や児童手当の支給はもちろん受けられません。さらに選挙権・被選挙権も行使できません。その他、数え上げればきりがないほど、夜逃げ生活には困難がっきまといます。
逃げても何の解決にもなりません。ひとつのことから逃げ出すと、さらに多くのことからも逃げ続けなければならなくなります。やはり、何としてもふんばって、事態を正面から受け止め、再起の道を探る方が賢明です。苦しい状況も、一定期間頑張れば、いずれは元の生活が取り戻せます。すべてを清算して、人生をやり直すこともときには必要なのです。